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セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館

アンダルシア地方最大の都市セビリャは、大航海時代に植民地貿易で繁栄した内陸港都市です。

大西洋とアンダルシアを結ぶグアダルキビル川の河岸地域にあるセビリャは、港があること、陸輸送に優れていたこと、海沿いではないため海からの直接的攻撃にさらされずに済んだことなどの条件が揃っていたため、貿易によって巨額の富を築き上げることができました。

セビリアは12世紀まではイスラム王朝に支配されていました。

その後、レコンキスタによってキリスト教徒たちが都市を奪還し、カスティリャ国王フェルナンド3世がセビリャ一帯を制圧しました。

セビリャが富を築き、大都市として知られるようになったのは、大航海時代に入ってからのことです。

1492年、コロンブスが北米大陸を発見しました。

そして、北米の植民地化政策が進み、そこで金・銀・宝石などの交易産業が発達したのです。

このようにして発展したセビリャには、豪華な建物が次々に生まれました。

但し、旧勢力のイスラムの名残は色濃く残っています。

キリスト教徒たちはイスラムの芸術性の高さを尊敬し、イスラム建築・美術に憧れを抱いていたからです。

ですから、残留したイスラム教徒たちは、大航海時代に彼ら独自の手法で美しい建物を建築し、後世に残していきました。

その中の、セビリャ大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館は世界遺産に登録されています。

※世界遺産登録:1987年

セビリアの大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館 -2-

セビリャの数ある建築物のうち、世界遺産にも登録される最も有名な建物が、セビリャ大聖堂です。

この大聖堂は、バチカンのサン=ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント=ポール寺院に次ぐ、世界第三の規模を誇ります。

聖堂の始まりは、イスラム教寺院をキリスト教に転用したことです。

しかし、建物の老朽化が進んだ中で、教会参事たちは「世界に誇る巨大な聖堂を築きたい」と願うようになり、1401年、改修工事のために着工しました。

それから約120年後の1519年にゴシック建築の大作として完成したのです。

イスラムの名残を残しつつ、セビリャの傑出した建築物として現在も人々を魅了しています。

アルカサルは、アラビア語で「王宮」を意味する言葉でカスティリャ国王の居城として増改築が繰り返され、規模が拡大されていきました。

アルカサルの様式は、ムデハル様式です。

国王の居住スペースであるために、国王個人の豪奢な趣味が至るところに見られ、細かいアラベスク模様の壁など、どこをとっても高い芸術性で圧倒されます。

また、歴代国王によって趣味が違ったことからアルカサルにはムデハル様式だけでなく、ルネサンス様式やゴシック様式なども見られます。

インディアス古文書館は、元々は16世紀に商品取引所として造られました。

その後、18世紀に古文書館になり、16世紀~19世紀の米大陸関連の貴重な資料が数多く保存されています。

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